中途入社の手続きは、新入社員とは異なり、社会保険や住民税、雇用保険などの異動処理が必要です。特に、住民税や雇用保険の引き継ぎ手続きは、前職の情報を正確に引き継ぐ必要があり、企業担当者としての的確な対応が求められます。
この記事では入社前から入社後にかけて必要な手続き、初回給与計算や年末調整の注意点を解説。さらに、住民税の特別徴収に関する正確な手続きを詳しくご紹介します。
目次
1. 入社前に用意するもの
入社手続きがスムーズに進むよう、入社前に以下の情報や書類を用意してもらいましょう。
雇用契約書の締結
雇用条件(給与額、雇用形態、勤務時間など)を明記し、両者で確認したうえで締結します。
個人情報の確認
従業員の氏名、住所、連絡先、家族構成などの情報を確認します。
必要書類の案内
健康保険や住民税の異動手続きで必要となる書類(雇用保険被保険者証、前職の源泉徴収票など)を案内しておきましょう。
2. 入社日に持参してもらうもの
入社日には、必要な書類や情報を従業員から提出してもらう必要があります。以下のリストを参考に、提出物一覧表を作成して、中途入社される方にお渡しいただくと良いでしょう。
参考リスト:入社日に必要な提出物
・前職の源泉徴収票
前職で支払われた給与や税金の情報を引き継ぐために必要です。正確な税額計算や年末調整を行うため、必ず回収しましょう。
・マイナンバーの確認書類
健康保険や雇用保険などの手続きでマイナンバーが必要です。以下のいずれかを提出してもらいます。
マイナンバーカード(本人確認書類や基礎年金番号の確認を兼ねる)
通知カード + 本人確認書類(運転免許証など)
マイナンバー記載の住民票 + 本人確認書類
※マイナンバーカードを提出した場合、その他の本人確認書類や年金手帳は不要です。
・雇用保険被保険者証
雇用保険の加入状況を確認するために必要です。退職時に前職の企業から受け取っている場合がほとんどです。
※雇用保険被保険者証がない場合、ハローワークで再発行手続きを行います。
・扶養控除等申告書
所得税控除の申告に使用します。
・被扶養者異動届(該当者のみ)
従業員が扶養家族を持つ場合、健康保険の扶養手続きに必要です。扶養家族がいる場合にのみ提出してもらいます。
・給与振込先口座情報
給与振込先を確認するために必要です。通帳のコピーやキャッシュカードの画像などで問題ありません。
3. 入社後の手続き
健康保険・厚生年金保険の加入
従業員が社会保険に加入していない場合、5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所またはオンラインで提出します。被扶養者がいる場合は、被扶養者異動届も提出が必要です。
雇用保険の手続き
従業員が雇用保険の適用対象である場合、雇入日の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出します。
住民税(特別徴収の手続きと退職時期別の切替ルール)
「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の提出が必要となります。
住民税の特別徴収を引き継ぐために必要な手続きです。
以下に手続きのフローと切替のルールについてご説明いたします。
前職の企業と転職先の企業がそれぞれ作成・提出
原則として、前職の企業と転職先の企業がそれぞれ「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成し、従業員の住所地の自治体に直接郵送します。
※従業員が書類を預かっている場合の対応
前職の企業が作成した異動届出書を従業員が預かっている場合、転職先の企業が回収し、必要事項(特別徴収開始希望年月など)を追記して自治体に提出します。
退職時期による住民税の対応ルール
1月1日~4月30日退職
最終給与や退職金から5月分までの住民税を一括徴収。控除しきれない場合は普通徴収に切替。
5月退職
最終給与から5月分の住民税を控除。
6月1日~12月31日退職
納税者本人が普通徴収に切替するか、翌年5月までの住民税を一括徴収するかを選択。
4. 初回の給与計算までに必要な手続き
基本的には、初回給与の設定が正しいものとして継続してしまうため、初回の給与計算に備えて
給与計算システムやExcel等の設定を正確に行うことが非常に重要です。
社会保険料の確認
扶養状況の確認
5. 年末調整の注意点
中途入社の従業員は、前職の所得状況や控除情報を引き継ぐ形で年末調整を行います。
源泉徴収票の取得
扶養控除や控除証明書の確認
6. まとめとご相談先
中途入社者の手続きでは、社会保険や住民税の特別徴収など、前職の情報を正確に引き継ぐ必要があります。また、退職時期に応じた住民税の切替対応が重要です。企業担当者として、従業員に正確な情報提供を行い、手続き漏れを防ぐことがポイントです。
ご相談はCATAPULT会計事務所へ
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