給与明細、きちんと見ていますか?
毎月なんとなく受け取って終わりにしている方も多いかもしれませんが、その計算は企業側で設定された内容に基づいています。当然、計算や設定にミスが起こることもあります。特に年末調整でミスがあれば、たとえ企業側の責任だとしても、法律上、従業員自身で確定申告を行わなければなりません。
この記事では、給与明細の基本的な見方から、注意すべきポイント、年末調整での確認方法までを徹底解説します。給与明細を正しく理解し、思わぬトラブルを防ぎましょう!
目次
1. 支給項目と控除項目の代表的なもの
給与明細には「支給項目」と「控除項目」が記載されています。それぞれの項目について、必ず記載されるものと、企業ごとに異なるものを見ていきましょう。
支給項目
基本給:すべての従業員に共通して支給される基礎賃金。課税対象。
残業代:残業時間に応じた割増賃金。課税対象。
通勤手当:通勤費用の補助。非課税(一定額まで)。
役職手当・職能手当:役職や職務内容に応じた手当。課税対象。
控除項目
健康保険料:医療保険や介護保険の保険料。課税対象外。
厚生年金保険料:老後の年金のための保険料。課税対象外。
住民税:自治体に支払う地方税。課税対象外。
所得税:国税として支払う税金。課税対象外。
2. 毎月同額のもの
給与明細の中には、毎月同額で記載される項目があります。ただし、一部例外もあるため注意が必要です。
支給項目(固定額)
基本給
固定残業代(超過分は別途支給されます)
通勤手当(定期代として固定支給される場合)
控除項目(固定額)
健康保険料・厚生年金保険料:保険料率が変更された場合、その月だけ変動します。
住民税:例年6月から徴収開始。初月は端数調整が加わる場合があります。令和6年度は定額減税により7月から開始されます。
3. 毎月変動するもの
給与明細には、毎月変動する項目も含まれます。これらの項目はその月の勤務状況や規定に基づいて計算されます。
支給項目
残業代:固定残業代の超過分が該当。計算方法は後述します。
特別手当(例:業績連動ボーナス)
大入手当(例:会社が目標達成した場合)
立替経費:従業員が立て替えた業務費用。
控除項目
雇用保険料:賃金に基づいて変動。
所得税:月ごとの支給額に応じて変動。
補足1:残業代の計算方法
【残業代=1時間あたりの単価 × 割増率 × 残業時間】
例:基本給30万円(所定労働時間160時間)の場合
1時間あたりの単価:30万円 ÷ 160時間=1,875円
【割増率と残業の種類】
時間外労働(法定労働時間を超える場合)
割増率:25%(通常時)
計算例:1,875円 × 1.25=2,344円(1時間あたり)
深夜労働(午後10時~午前5時)
割増率:25%(時間外労働と重なる場合は50%)
計算例:1,875円 × 1.25=2,344円(通常深夜)
休日労働(法定休日の労働)
割増率:35%
計算例:1,875円 × 1.35=2,531円(1時間あたり)
法定内の時間外労働(8時間未満)
割増計算は不要です。通常賃金として支払われます。
計算例:1,875円(そのまま支給)
補足2:雇用保険料と所得税の計算基礎の違い
雇用保険料:基本給、通勤手当、残業代などを含む賃金総額が計算基礎。
所得税:通勤手当や非課税の支給額を除く課税対象額が計算基礎。
4. 年末調整結果の見方
年末調整では、所得税の年間精算が行われます。ほとんどの場合、還付となりますが、場合によっては追徴(追加で税金を納める)が発生することもあります。
追徴となるケースの例
賞与により税額が調整された場合
賞与から天引きされる所得税は、前月の給与額をもとに仮計算されるため、年間の確定税額と大きく乖離することがあります。
扶養控除の変更が反映されなかった場合
年の途中で扶養親族が減少すると、年末調整で追徴されることがあります。
5. ミスが起こりやすいポイント
給与明細では以下のようなミスが発生しやすいため、注意深く確認しましょう。
代表的なミスの例
昇給が反映されていない
昇給後の最初の支給月を確認しましょう。
残業時間の超過が反映されていない
固定残業時間を超過した場合、その分の残業代が支給されているかをチェック。
雇用保険料が変動していない
支給額が増減している場合でも、雇用保険料が同じであれば設定ミスの可能性があります。
健康保険料・厚生年金保険料が変更されていない
賃金が変動した場合、最初の支給月から3か月間の計算を確認し、4か月目以降も同じであればミスの可能性が高いです。
年末調整結果が正しく反映されていない
還付額が支給総額に加算されているか確認しましょう。控除項目側のマイナス表記は正常です。
6. まとめと相談窓口
給与明細を正しく確認することは、自分の権利を守るための第一歩です。特に年末調整時期には、控除や還付額が適切に反映されているか注意深く確認しましょう。
疑問点がある場合は、給与担当者に遠慮なく相談することをお勧めします。
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