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執筆者の写真望月 史郎

収益性が見えない企業が陥る5つの落とし穴とその解決策


企業が収益性を正確に把握できない理由はいくつかあります。そのため、どの事業を継続すべきか、または改善が必要か、さらにはどのコストを削減するべきかといった判断が難しくなり、利益率を向上させるための適切な対策が打てません。ここでは、収益性がわからない主な理由と、その改善策について詳しく説明します。貴社の課題を解決する手助けになるかもしれませんので、ぜひご参考ください。


1. 縦割り管理が不十分

事業部や商品別、地域別、サービス別で粗利までは把握できるものの、固定費の按分が合理的でないため、実際の利益が見えにくくなっています。例えば、商品の仕入れ原価は把握していても、それに関連する人件費や広告費の管理が不十分です。費用はすべて売上に紐づけて管理すべきですが、単純な売上按分ではなく、費用の発生形態を考慮した合理的な配賦が求められます。

改善策: まずは、事業部ごとやプロジェクトごとの固定費を整理し、合理的な配賦方法を検討しましょう。最初のステップとして、主要な固定費の内訳をリストアップし、それを各部門にどのように割り当てるか簡単に試算してみてください。


2. 人件費の管理が不十分

人件費が全体に占める割合が高いにもかかわらず、プロジェクトや事業ごとにかかる時間や工数が管理されていないため、売上に対する人件費の貢献度が見えません。

改善策: まずは、簡単なツール(エクセルや無料のタイムトラッキングツール)を使って従業員の時間管理を始めましょう。最初は重要なプロジェクトに絞って、どのくらいの工数がかかっているかを記録することから始めてください。日本企業では工数管理の意識が低い傾向がありますが、収益性の高い企業ではすでに導入されています。ただし、全ての業務が時間に比例して成果が出るわけではないため、時間管理に向かない業務もあることを念頭に置きましょう。


3. 経理情報へのアクセス制限

事業部の担当者が人件費や固定費に関する経理情報にアクセスできず、収益性を十分に把握できない状況にあります。経理情報の一部は経営層や経営企画部門に限定され、担当者が戦略を立てるための原価情報が不足しています。

改善策: まずは、事業部担当者に必要な経理情報へのアクセスを少しずつ拡大することを検討しましょう。情報共有のルールやプロセスを明確にし、必要な情報をタイムリーに提供できる体制を整えることが重要です。


4. 情報の取得が遅れる

経営者や経営企画部門が経理情報を取得する際、手間や時間がかかり、正確な情報がタイムリーに入手できないため、迅速な意思決定ができません。

改善策: 情報取得プロセスを見直し、経理システムの改善やクラウドツールの導入を検討しましょう。最初のステップとして、ダッシュボードを使って主要な財務指標をリアルタイムで確認できる環境を整えると良いです。まず、どの指標を重視するか決定し、それがどのタイミングで必要か、実際に取得できるかを確認してください。


5. 会社の仕組みや規制による障害

事業担当者が必要な経理情報を迅速に入手できる環境が整備されていないため、正確な収益性の把握が難しくなっています。現場の担当者がビジネスを理解し、適切な情報にアクセスできないことは大きな問題です。

改善策: 現状のシステムやルールを見直し、必要な情報がスムーズに流れる仕組みを整えることが必要です。まずは、各部署や担当者に必要な情報をリスト化し、それに基づいて情報共有ルールを作成しましょう。


まずは現状把握を

改善の第一歩として、現在の状況を正確に把握することが重要です。どの情報が不足しているのか、どのプロセスが遅れているのかを経営陣や経営企画部門が明確にし、課題を洗い出すことが必要です。

スモールステップ

  • 主要な経営指標(売上、利益、コストなど)の確認頻度を増やし、各部門の数値を「見える化」することから始めてください。

  • その後、各部門の担当者と定期的にミーティングを設け、問題点や改善点を共有し、具体的な改善アクションを計画・実行することが効果的です。

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