2024年度の税制改正で、外形標準課税の適用対象法人の基準が見直され、資本金1億円以下の企業にも適用されるケースが増えることが決定しました。この改正は、大企業グループや減資による課税逃れを防止することを目的としています。ここでは、外形標準課税の制度概要と、新たな基準がどのように適用されるかを解説し、具体的な決算月の違いによる適用タイミングについても触れます。
外形標準課税とは?
外形標準課税は、法人の所得以外の要素(外形)に基づき法人事業税を課税する制度です。主に資本金1億円超の法人が対象で、課税の基準には「付加価値割」と「資本割」が含まれます。これは、景気に左右されにくい安定的な地方税収の確保を目的として導入されました。
今回の改正内容
新たな外形標準課税の適用基準は以下の通りです。
資本金1億円以下でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える法人
以前は資本金1億円超が課税対象でしたが、今回の改正で資本金1億円以下でも実質的に大規模な企業が課税対象に含まれます。これにより、企業が単に減資を行うことで課税を回避することが難しくなりました。
大企業グループ内の100%子会社
親会社が資本金50億円超の大企業グループの100%子会社で、資本金が1億円以下、かつ資本金と資本剰余金の合計が2億円を超える場合も課税対象に含まれます。これにより、持株会社や分社化による課税逃れの防止が図られています。
施行時期と決算月による適用の違い
この新基準は段階的に適用されるため、会社の決算月によって適用タイミングが異なります。具体例を挙げて解説します。
1. 3月決算会社の場合
2025年3月末までに減資を行えば、2025年4月1日以降の改正基準には該当しません。
2025年4月1日以降の施行で適用される改正基準において「前事業年度に外形標準課税の対象であった」条件を回避するためには、このタイミングまでの減資が重要です。
2. 4月決算会社の場合
2024年4月末までに減資を完了していない場合、2025年4月1日の施行時に新たな基準に該当する可能性があります。
そのため、4月決算会社が新基準の課税を避けるには、2024年4月末までに資本金1億円以下に調整する必要があります。
3. 12月決算会社の場合
2024年12月末までに減資を行うことで、2025年1月以降の事業年度から改正基準の課税対象とならないことが可能です。
施行直前の事業年度において外形標準課税の対象でなければ、2025年4月以降の新基準に該当しないことになります。
今後の対応について
外形標準課税の対象となるかどうかは、企業規模や資本構成によって異なるため、かならず顧問の税理士と相談しながら計画的な資本調整を検討することが重要です。改正によって新たに対象となる企業は、経過措置が適用されるため、適用初年度からの負担増加を緩和することも可能です。
本改正により、外形標準課税の公平性が向上し、大企業による税負担の公平な分配が図られることが期待されています。
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