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執筆者の写真望月 史郎

2024年9月5日 ストックオプションの今とこれから~最新実務を徹底追求!セミナー参加の感想



※このブログは、セミナーでの内容を基にしていますが、私自身が勉強中であり、誤った解釈が含まれている可能性がある点をご了承ください。セミナーでの資料提供はなく、聞いて見た情報を元にしていますので、詳細については専門家に確認いただくことをお勧めします。


先日、セミナー「ストックオプションの今とこれから~最新実務を徹底追求!」に参加し、ストックオプション(SO)の最新の制度変更や実務に関する知識を得る機会がありました。SO制度は、法務・税務・会計・IPO準備、M&Aなど、多岐にわたる分野で論点が存在し、特に2023年7月7日の国税庁通達および2024年4月の税制改正に伴う変更点は、企業にとってSO活用の鍵となる重要な要素です。

今回のセミナーでは、SOの利用方法が特に議論されましたが、特にIPOを目指す企業にとっての課題や、私自身が小規模M&AマーケットにおけるSOの活用方法に関連して役立つと感じた点もありました。以下に、セミナーで得た主なポイントと私の感想をまとめます。


現在のストックオプションの状況

セミナーの最初は、テンキューブの伊藤信雄氏が、現在のSOの状況や税務の最新動向について概説しました。伊藤氏は、2023年7月の国税庁通達に基づく税制改正の内容に焦点を当て、SOの権利行使価格に関する改正や実務での適用ポイントを整理して説明しました。特に、税制適格SOと非適格SOの効果の違いについて詳述され、これが企業に与える影響が強調されました。

次に、EY新日本監査法人の野口正邦氏がSOに関する会計および税務の最新動向を解説。特に、権利行使価格と公正な評価単価との乖離や、費用計上のタイミングが企業経営にどのような影響を与えるかが議論されました。

未公開企業においては、一般的に市場価格がないため、公正な評価単価の代わりに本源的価値の見積もりが使用されることが認められています。野口氏は、ストックオプションの本源的価値は、付与時点の株式の評価額に基づいており、行使価格が株式評価額よりも高い場合、本源的価値がゼロと見なされ、結果として株式報酬費用が発生しないケースが多いと説明しました。この部分はSOの費用計上に直接影響するため、未公開企業にとって非常に重要です。


税制適格SOの最新実務とベストプラクティス

法務面においては、AZX総合法律事務所の石田学氏が解説した税制適格SO以外の方策も非常に興味深い内容でした。石田氏は、有償SO社外高度人材SO譲渡予約権の実務例を紹介し、特に有償SOの導入には高額な算定費用がかかるため、導入を断念する企業もあることが指摘されました。しかし、新しい枠組みとして社外高度人材SOが拡充され、より柔軟なSOの利用が可能になっていることが企業にとって大きなメリットとなります。

また、IPO準備中の企業にとって、上場前にSO費用をN-3期(上場3年前)までに計上し終えることが重要です。SO費用は、IPO時の株価に影響を与える可能性があるため、上場準備段階での計画が非常に大切であると強調されました。このようなタイミングでのSO費用の処理は、IPOに向けた戦略の一環として慎重に検討する必要があります。

さらに、SOの付与に関しては、従業員ごとのベスティング条項(権利行使条件)をどのように設定し、IPOまでにSOをどのように管理するかが今後ますます重要になることがわかりました。


M&Aとストックオプションの関連性

今回のセミナーで私が特に注目したのは、会社自身による株式管理スキームの創設です。税制改正によって企業が株式管理を自ら行う体制が整いやすくなり、IPOに至らない企業がM&Aに移行する場合でもSOの税制適格性を維持できるようになった点は、大きなメリットだと感じました。譲渡先が法人であれば、SOの税制適格性が崩れることがないため、M&A戦略を考える企業にとっては非常に有益です。

従来、証券会社や信託を通じて株式管理を行う際に2か月以上の手続きが必要となる場合がありましたが、今回の制度改正により、会社自らの運用で進められることは大きな進展です。


個人的な学びと今後の課題

今回のセミナーでは、SO制度が日々進化していることを強く感じました。特に、IPOやM&Aを目指す企業にとっては、法務・会計・税務の各側面から慎重な計画が求められることが分かりました。税制適格要件を満たすためには、パートタイムの雇用契約者でもSOを付与できるという点は、今後の実務で大いに活用できる知識です。

ただし、SOの行使価格や付与タイミングについては、VCとの調整や不公平感を避けるための対応など、まだ多くの課題が残されています。特に価格設定や発行時期については、IPOを見据えた長期的な視野で計画する必要があると感じました。


まとめ

今回のセミナーを通じて、SO制度の最新動向と実務における課題について学ぶことができました。まだ標準的な手法が確立されていない部分もありますが、税制改正やIPOに向けたベストプラクティスが少しずつ形になりつつあります。SOの導入や運用に関しては、引き続き最新情報を注視し、実務に反映させることが重要です。

SOの導入や制度変更に悩んでいる方は、ぜひ専門家に相談し、最適な対応策を検討していただきたいと思います。

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