準確定申告とは?対象者・期限・手続き方法を解説
- 啓太 須田
- 6月13日
- 読了時間: 4分

相続が発生した際、意外と知られていないのが「準確定申告」の手続きです。 「そもそも準確定申告って何?」「自分に必要なの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
準確定申告の基本から、申告が必要な人・不要な人の判断基準、具体的な手続き方法や注意点までを解説します。
この記事を読んで分かること
「準確定申告とは何か?」という基礎的な知識から、誰がいつまでにどのように申告するのかといった具体的な手続きの流れまで理解できます。
また、通常の確定申告との違いや、準確定申告が「必要な人」「不要な人」を見分けるための判断基準、さらに申告すれば還付が受けられるケースについても解説しています。
具体的な内容
準確定申告とは?
準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の生前の所得に対して、相続人が代わりに行う確定申告のことです。これは相続とともに発生する手続きの一つで、通常の確定申告とは異なる点や注意点があります。
1. 誰が申告する?──相続人全員で申告
通常の確定申告では本人が申告を行いますが、準確定申告では相続人全員が連名で申告書を提出する必要があります。署名・押印も全員分が必要です。
2. いつまでに申告する?──4カ月以内がルール
申告期限は「相続開始(=死亡)を知った日の翌日から4カ月以内」です。通常の確定申告が2月16日~3月15日であるのに対し、準確定申告は相続開始のタイミングによって個別に期限が設定されます。期限を過ぎると延滞税・加算税の対象になるので要注意です。
3. 提出先はどこ?──亡くなった方の住所の税務署
通常の確定申告は申告者の現住所の管轄税務署ですが、準確定申告は故人の最後の住所地を管轄する税務署が提出先です。
4. 税金の納付は誰が?──相続人が負担
納税義務は相続人に移ります。負担する税額は相続財産の取得割合に応じて分けられます。 たとえば10万円の納税が必要で相続人が2名、遺産を半分ずつ受け取っている場合、それぞれ5万円ずつ納付します。
通常の確定申告との違い
項目 | 通常の確定申告 | 準確定申告 |
対象期間 | 1月1日~12月31日 | 1月1日~死亡日まで |
申告者 | 本人 | 相続人全員で連名 |
期限 | 翌年2月16日~3月15日 | 相続開始を知った翌日から4カ月以内 |
提出先 | 本人の住所地の税務署 | 故人の住所地の税務署 |
納税義務者 | 本人 | 相続人(相続割合に応じて) |
医療費控除などの対象期間 | 1年間に支払った分 | 死亡日までに支払った分 |
準確定申告が【必要な人】【不要な人】の見分け方
準確定申告が【必要な人】
以下の条件に当てはまる場合、準確定申告は必要です。
事業所得や不動産所得があった
年収が2,000万円を超えていた
複数の会社から給与を得ていた(副収入が年20万円超)
公的年金収入が400万円超
給与・退職金以外で20万円以上の所得があった
株や不動産を売却し、譲渡所得が発生していた
これらは、生前に確定申告が必要な条件と同様です。
準確定申告は【不要】でも、申告すればお得なケース
申告することで税金が戻ってくる(還付される)ケースもあります。
医療費控除
配偶者控除
生命保険料控除
年金から天引きされていた源泉徴収税の還付
株式取引の損失繰越控除、配当控除(特定口座)
これらに該当する場合は、準確定申告を「したほうが得」です。
準確定申告が【不要な人】
以下のような場合、準確定申告は原則として必要ありません。
故人が会社員・派遣社員で年収2,000万円以下
勤務先で年末調整が済んでいた
他に副収入がない場合
まとめ
準確定申告は、亡くなった方の生前の所得に対して、相続人が代わりに行う重要な手続きです。これは単なる義務というだけでなく、申告内容によっては税金の還付を受けられる可能性もある
そのため、手続きを始める前にまず確認しておきたいのが、故人に確定申告の義務があったかどうかという点です。確定申告が不要であった場合には、準確定申告も必要ありませんが、該当する場合は期限内に正しく申告を行うことが重要です。
適切な判断と準備によって、トラブルを回避し、安心して相続手続きを進められるようにしましょう。 ▼関連記事もおすすめ
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