相続があった後の確定申告はどうする?対象ケースと具体的な流れを解説
- 啓太 須田
- 11 分前
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この記事を読んで分かること
相続が発生した後に必要となる手続きや申告の流れについて、期限ごとに解説しています。
具体的な内容
相続税の一般的な流れ
相続税の申告までの流れを確認する前に、まずは以下の主要な手続きとその期限を押さえておきましょう。
3ヶ月以内:相続の放棄または限定承認
4ヶ月以内:被相続人の所得税についての準確定申告と納付
10ヶ月以内:相続税の申告と納付
3年以内:相続登記(不動産の名義変更など)
これらの期限を事前に知っておくことで、慌てることなくスムーズに対応でき、トラブルの未然防止にもつながります。 ここからは、それぞれの期限ごとに必要な手続き内容を詳しく見ていきましょう。
・3ヵ月以内に行うこと
1. 遺言書の有無を確認する
まず故人が遺言書を残していたかどうかを確認しましょう。 遺言書が存在する場合、その内容に基づいて遺産を分割するのが原則となります。
2. 相続財産と負債(債務)の内容を調査する
相続の対象となる財産には、預金・株式・不動産などのプラスの資産だけでなく、借金・未払い金・保証債務などのマイナスの財産も含まれます。 特に、被相続人が生前に会社を経営していた場合は、経営法人の連帯保証人となっているケースもあり注意が必要です。
3. 法定相続人の確定
正確な相続手続きを進めるためには、まず誰が法定相続人に該当するのかを明らかにする必要があります。 そのために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得して確認します。
戸籍の取得は、本籍地が複数の自治体にまたがる場合には時間がかかることもあるため、なるべく早めに着手しておきましょう。
4. 単純承認・相続放棄・限定承認のいずれかを選ぶ
相続人は、故人の遺産や負債の扱いについて次のいずれかを選択する必要があります
単純承認:すべての権利・義務をそのまま相続する方法
相続放棄:一切の相続財産を受け継がない
限定承認:相続によって得られる財産の範囲内でのみ債務を負担する方法
・4ヵ月以内に行うこと
5. 被相続人の所得について準確定申告を行う
故人が生前に収入を得ていた場合、その年の1月1日から死亡日までの所得に対する申告が必要です。この手続きを「準確定申告」と呼びます。
・10ヵ月以内に行うこと
6. 相続財産と負債を確定し、財産目録を作成する
被相続人が残したすべての財産と負債(借金・未払い金など)を調査し、正確な財産内容を把握します。 ここでは、葬儀費用など相続財産から差し引ける支出も含めて整理し、「財産目録」という一覧表にまとめます。
7. 相続財産の分け方を話し合い、遺産分割協議書を作成する
遺言書が存在しない場合、相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産をどの割合で受け取るかを決定します。これを「遺産分割協議」と呼びます。 協議がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成し、すべての相続人が自署・押印(実印)します。不動産が含まれている場合、実印と印鑑証明書の添付が必須です。
8. 遺産分割に基づく各種名義変更などの手続きを行う
遺言や遺産分割協議書に沿って、不動産の登記変更、銀行口座の解約・名義変更、有価証券の移管など、実際の財産移転手続きを行います。
9. 相続税を計算し、申告・納付を行う
相相続税額を算出します。 その上で、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に、相続税の申告書を税務署に提出し、納付を済ませる必要があります。
所得税の準確定申告とは?
「準確定申告」とは、被相続人(亡くなった方)のその年の1月1日から死亡日までの所得に対して行う所得税の申告を指します。この手続きは、相続が発生したことを知った日の翌日から4ヵ月以内に、相続人が行わなければなりません。
準確定申告が必要となる主なケース
以下のような場合には、準確定申告が必要となります:
年間の給与収入が2,000万円を超えていた
複数の勤務先から給与を受け取っていた
事業所得や不動産所得などの収入があった(自営業者など)
公的年金の受給額が400万円を超えていた(控除後も課税対象額が残る場合)
給与所得者で、給与・退職所得以外の所得が合計20万円を超えていた
不動産や有価証券の売却・譲渡による所得があった
生命保険の満期金や一時金を受け取っていた
まとめ
相続が発生した後は、期限付きで進めなければならない重要な手続きが数多くあります。 中でも、3ヵ月以内に行う相続放棄や限定承認の判断、4ヵ月以内の準確定申告、10ヵ月以内の相続税の申告と納付は、忘れてしまうと大きなペナルティが生じる可能性がある重要なステップです。
相続の手続きは非常に複雑で、少しでも判断に迷ったり手続きに不安がある場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。 早めに準備を進めることで、大切な人を失った後の負担を軽減し、相続を円滑に進めることができます。
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